top of page

ウィンドウトリートメントの隠し技

長く建築設計業界で生きてきましたが、その中でいつもしみじみ感じていたことがあります。建築業界はとかくインテリアを軽視しがちなのではないかと・・・。これについては語りだすととても長くなってしまうのでまた別の機会にしたいのですが、私は、住まう人や、空間を使う人に一番近い建築の要素である【インテリア】という分野が好きです。インテリアならではの、ファブリックという素材についても、最近ではファブリックを外装ダブルスキンにとりいれたり、オープンスペースを柔らかく仕切るためにとりいれたり、いう建築も増えてはきましたが、やはりインテリアデザイナーの使い方とはだいぶ違って、クールでかしこまった印象です。対して、インテリアデザイナーのそれは、ファッションに近い感性で選定されていることが多い気がします。ウィンドウトリートメント、いわゆるカーテンやブラインドなどの窓際の設えについても、その機能性と感性に訴える豊かさは、奥が深いものがあるのですが、あまり重要視されていない建築設計士もいらっしゃるのではないでしょうか。こんな種類のウィンドウトリートメントがあるんだ~というものを少しだけ、こちらでご紹介して、興味をもっていただければ嬉しいです。

機能(遮光性やUVカット、透過性、開閉の方法など。)についてはもちろん適材適所で十分に検討する必要があるのですが、ここではインテリアデザイナーならではの、感性に訴えるウィンドウトリートメントの種類をいくつか、住宅のコーディネートの際に個人的に常に心がけているセオリーと共に徒然と書きます。


【内部空間の広がりを重視したい住宅リビング】

なるべく室の内外を連続させるために、窓をフレーミングして主張するものは選定しません。部屋内部の壁合わせのテキスタイルにてシンプルに設えます。住宅ではあまりなじみはないかもしれませんが、壁クロスと近似仕上の縦ブラインドは、窓際を主張させず、内部空間も広く感じられ、外の景色を映えさせます。シャープでモダンな印象の空間にも仕上がります。日中はブラインドを開放しておくことが多いとおもいます。開けたままでもプライバシーをを特に気になさらない方も多いのですが、私はレースカーテンも外側に設置することをお勧めします。その方が床材などの内装材の日焼けの抑制もできますし、様々な状況に対応しやすいです。

ラグジュアリーな印象にしたいときは先述の縦ブラインドではなく、ドレープカーテン2倍ひだにします。テキスタイルは少しだけ光沢のあるものを選定して上質感をだします。レースカーテンについても、眺望を阻害しないように無地を選定することが多いです。カーテンを留めるタッセルはあえて使用せず、ドレープカーテンをまとめないで溜まりによせておくスタイルが個人的には好きです。房金物もわりと主張するアクセサリーなので、用いずに、内外の連続性を邪魔するものはなるべくなくします。

【プライベート度が高い室 寝室等】

使用する人の好みに応じて、コーディネートも最も遊べる室です。囲われている印象のほうが、ネスト感があり落ち着く、という自論なので、ここではリビングと反して主張する窓の設えでも良いと考えています。私がよくご提案するのは、フロントレースです。窓側にインテリアアクセントとなる色味のドレープカーテンを配し、部屋内側に、透かし模様のレースカーテンを配する手法です。透かしの部分からドレープカーテンの地の色が見えてかなり個性的な見え方となります。ドレープカーテンを留めた状態でもレースカーテンの透かしによるアクセントは美しく印象付けます。ただし、ドレープカーテンを開ける際、一度レースカーテンを開けてからの作業になりワンクッション動作が動作が必要ですので、その手間を厭わないという方向けとなります。煩わしく感じた場合、あとからレースとドレープカーテンを前後入れ替えることは簡単にできます。

【個性的なプリント柄のテキスタイルを使用したいキッズルーム等】

こどもの情操を養う、ということで、キッズルームには色彩豊かであったり絵柄がついていたり、というインテリア要素が好まれることが多いのではないでしょうか。私も、時期は限定されてしまいますが、その時期でしか選定できないものを、特に模様替えが容易なウィンドウトリートメントでこどもと楽しむことに賛成です。その場合は、ギャザーで柄がわからなくなってしまわないように、そしてカジュアルな印象になるように、ひだのないフラットカーテンを選定しテキスタイルを際立たせます。ただしフラットカーテンはひだのない分、カーテンレールのすべりが悪いので開け閉めがお子様には難しく感じることがあるかもしれません。ご自分でカーテンの開け閉めを日常的にできるお年頃のお子様でしたら、カーテンではなく上下に開け閉めするプレーンシェードもおすすめです。


まだまだたくさんセオリーとしてご紹介したいのですが、ウィンドウトリートメント、奥が深い!ということがお伝えできれば、徒然もお役目ご免かと思いますので、このあたりにいたします。選定は空間TPOに応じていろいろな解答がありますが、STUDIO IN OUTの虎の巻の一部としてご参考にしてください。




bottom of page